サステナビリティ・ウィーク2011 行事詳細
社会格差への教育の挑戦
行事予定
| 開催期間 | 2011年10月27日(木)12:30受付開始 13:00開演 (終了しました) |
| 主催者 | 北海道大学大学院教育学研究院 |
| 共催 | ソウル大学校(韓国)・公州大学校(韓国) |
| 会場 | 北海道大学学術交流会館 小講堂 |
- 言語:日本語・韓国語
- 対象:専門家、一般市民、大学生・院生
| 行事概要 | 近代西欧の優れたスローガンであった自由と平等を目指した現代社会は、産業化と経済発展の陰に、国際的にも、国内的にも、所得格差、健康格差、教育格差など多様な不平等と不公平をもたらしています。開かれてあるべき社会における格差は、一方で排除の構造となり、一方で個性の多様性や自由な成長を阻害しつつ、格差はますます拡大し続けています。その社会構造を哲学的理念として支え、また多くの現代人が信奉する自由なる「個人主義」は、一方で「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」という人間相互のコミュニケーションによる紐帯の社会的重要性を意識し始めました。コミュニケーションを介した相互努力、相互発展としての教育が、人間社会の持続的発展に果たすべき役割と課題を確認し、現代の私たちが乗り越えるべき障壁と次世代に繋ぐべき試みについて議論します。 1. The Analysis on Discrimination Experienced by Immigrants in Korea and Korean Americans in the United States: A prolegomenon for developing multicultural human rights education program in Korea Sang Hwan Seong (Professor, Seoul National University) In the era of globalization, South Korea has rapidly been becoming a multicultural society. As of September 2010, the number of foreigners residing in Korea exceeded 1.2 million. This rapid increase of multicultural families is a result of the growing numbers of marriage immigrants and labor immigrants. Consequently, the coexistence of people of various languages, cultures, skin colors and religions is emerging as an important social issue. As a result, many multicultural education programs have been initiated in South Korea under the supervision of public organizations and civil societies. However, the number of multicultural programs for the Korean adults in general is not enough. The target population and topics for many of these programs are also limited to immigrants only and provide education programs for these immigrants to fit into the Korean society. In order to shift the current trend and bring in a new paradigm of coexistence and cooperation in the multicultural society that Korea is becoming, on top of the protection of migrants’ other rights and interests, the general public’s acknowledgement of human rights issues and cultivation of welcoming attitudes toward immigrants would be necessary. As one way of approaching the issue, the current study aims to raise awareness of the importance and necessity of human rights education programs by comparing the discrimination experienced by the immigrants in Korea and the Korean Americans in the United States. By analyzing the Koreans both as immigrants and receivers of immigrants, the results are expected to provide helpful reference for developing more effective multicultural human rights education programs. 2.Tasks for SupportingExcluded Young People from School Not a few children and young people remain leaving schoolunder eighteen year olds. Transition to “Knowledge Based Society” as a new phase of modern society requires more enhanced life course formation based on school centered education system, however, at the same time, it will also bring about acceleration of exclusion in schools. (和文要約) 学校から早期に離脱する子ども・若者は依然として減少していない。「知識基盤社会」と言われる近代化局面への移行は、一方では学校を経由するライフコース形成の必要性を高めながらも、他方ではそれ故に、学校における排除性を強めざるを得ない。高校中退は、今日の学校を中心とした教育システムに必然的に付随するとすれば、この現象に焦点を当てることによって、現在の教育システムの限界が浮かび上がるであろう。人が育ち市民になる過程と教育的な介入のミスマッチ、さらには矛盾がそこには顕在化しているからである。 3.Education Gap and Student Migration (和文要約) 児童生徒の移動は、保護者と児童生徒の直接、間接的な選択により起きる。児童生徒の移動は、時期的次元において進学時と在学時に、空間的次元において都市内、都市間、都市と農村間の移動に区分できる。児童生徒の移動の規模とパターン、児童生徒の移動の原因と過程、そして結果と関連して、深刻な教育的、社会的問題が起きている。特に、農村から都市への児童生徒の移動は、地理的位置に伴う教育格差に起因しており、農村学校の小規模化、さらには教育力低下の決定的な要因として作用している点に注目する必要がある。農村から都市の学校への児童生徒の離脱が一方的に続いており、政府はこの間、教育条件の改善レベルにおいて、都市と農村との教育格差を縮めるための政策を推進してきているが、実効性は大きくなかった。都市の学校へ追いつく政策から農村学校の特性を生かす政策への転換を通じて、農村地域の児童生徒数減少に根本的に対処する努力が要求されていると判断できる。 4. Occupation・Status・Solidarity The gap of occupational status has taken place since the capitalism had arisen. European and American countries has grading occupation to the “job”, what is very visible and the object of the negotiation by management and labor union. We can estimate it is the effort to make it the “rational gap”. On the other hand, in Japan, occupational gap was caused by the “in piles stratum of labor formation”. It is very invisible thing, especially from 1960s to 1990s Japan. To conquest of this problem, we have to recognize the importance of social tie. Needless to say, the social tie of worker is the labor union. (和文要約)職業・格差・連帯 格差の根源とでもいうべき職業上の格差は、どの国においても突然近年生じたものではなく、資本主義の歴史とともに古くからある問題である。欧米社会が「職務」として仕事を格付けることによってその格差を可視化し、労使交渉の俎上に乗せてきたのは、その格差をできるだけ合理的なものに近付けようとしてきたからにほかならない。対して日本では、戦前来請負制度などを背景に強固に存在している重層的労働編成が事態の改善・解決を困難にしている。こうした状態ではあれ、高度経済初期までは格差は「見える差別」としてその解消が目指されていた。しかし、高度成長期とりわけその後半から格差は「見えない」ものになっていった。近年になって再び「見える」ものとして格差が話題となる機会が増えたことによって、それは突如生じた印象を私たちに与えるのである。ともあれこうして「見える」ようになった格差を解消していくには、社会における紐帯の重要性を再認識することが必要である。労働者に関して言えばそれはとりもなおさず労働組合を媒介にした労働者同士の連帯の可能性の問題に他ならない。この間の歴史研究が明らかにしてきたのは、社会階層の比較的「上層」にあるものの方が組織になじみやすいという現実である。このことは裏を返せば、困難に陥りやすい層の連帯の可能性は十分に解明されていないということでもある。本報告では職業教育・訓練と労働者文化の接続性の観点からこの可能性に迫る。 |
| 事前申し込み | 必要 ウェブサイトまたはE-mail(edkyomu@edu.hokudai.ac.jp)にて受付 |
| 参加費 | 無料 |
| 問い合わせ先 | 教育学事務部 庶務担当
TEL:011-706-3082 FAX:011-706-4951 E-mail:shomu@edu.hokudai.ac.jp |
実施報告
| 現代社会は一面の豊かさが進行する一方で、多様な格差をもたらし、そのことが将来の社会に持続性の大きな課題となっています。ESD国際シンポジウムは、健全で持続的な社会を形成するための教育的課題について、韓国のソウル大学校および公州大学校から2名の海外研究者を招き、社会の格差の原因や実態を認識し、課題解決への方向性を国際的視点から議論しました。ソウル大学校からのSeong教授は、国際結婚や移民労働者によって急速に多文化化が進んでいる韓国において、移民を受け入れる韓国人と、移民となった韓国人の実態調査から、いずれの立場からにも存在する差別の構造と、異なる多文化的な生活環境の中での子供達の成長に関わる教育課題を明確に指摘されました。宮崎教授は我が国の高校中退者の調査から、種々の差別と排除構造となっている社会の中で生きている中退者の現状を報告し、中退後の教育の保障という展望を示しました。一方、公州大学校からのIm教授は、過疎化する韓国地方社会で児童の移動・転学にともなう教育的課題に焦点をあて、農村における教育資源の劣化や教育力の喪失が児童の転学を促し、さらに地方の教育の劣化に繋がるという構造を報告し、都市部の学校を越える新たな農漁村における学校の出現という展望を示されました。上原教授は、職業上の社会格差という観点から、我が国の労働・雇用環境におけるヒエラルヒー的(重層的)編成に焦点をあて、所得賃金格差、男女格差とともに労働者の組織化の問題点について議論しました。豊かな社会が加速する一方で、その先端から乖離していく集団の存在がどの発表者の演題からも明瞭に察知され、最先端と最後尾集団との格差が、ますます拡大し、問題が複雑化している現代社会が、日本および韓国において示されました。これを克服するのも明確な問題意識をもったESDの取り組みと、その解決に向けた実践的応用であり、今後の議論の発展が期待されるシンポジウムでした。 |



